ばかって言う君が好き。

July


『明日だよ?』

『明日だね!』
 私達は会う前日、そんな言葉を文面で送りあっていた。
仕事が終わって、寝る前の彼とのLINEの時間。

彼は家に帰ってからもお仕事をしているみたいで返事は少し遅い。

それでも今日のLINEはいつもと内容が違う。

具体的で、現実味を帯びた、 一番できたら嬉しいと思っていた話。
文字をうちながら顔のにやけがとまらない。


『直人、何分に着く新幹線でくるんだっけ?』

『えっとね、10時49分のやつ。
別に、お迎えいいよ?倫子の家行けるし。』
 私はそんな彼の返事をみて、頬を膨らませた。

『なんでそんなこと言うんだよー!
駅まで向かいに行くから!』

すねた私を察したのかすぐに既読がつく。

『ごめん、ごめんw
あー仕事終わったー。』

 時計を見ると10時14分。


『お疲れさま。
ごめんね、今日はお先お布団にもう入ってる。
でもドキドキして寝れない……笑』

『気にしないよ。倫子もお疲れさま。
……俺もたぶんドキドキして寝れないw』


「ふふっ」
 彼も同じ気持ちなのが嬉しくて笑ってしまう。


『遅れてもいいから、事故にだけは気を付けてね。
楽しみにしてるよ。』

『ありがとう。俺もだよ。』


彼からのありがとうにほっこりしながら私は目を閉じた。


ピンポーン


「ん?」
 閉じていた目を開け、確認するメッセージ。


『まだ寝ないでw
俺本気目が冴えてて、寝れないw』

「ばか」
 苦笑する私。

結局彼の眠気がくるまで、もう少し彼とやりとりをしたのだった。

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