ばかって言う君が好き。
映画が始まった。コミカルで笑える場面がたくさんあった。
場内のみんなで笑った。
それでも私はたくさん泣いた。
なぜだか分からないけど、笑いながらたくさん泣いた。
涙がとまらなかった。
エンドロール。
女優さんや俳優さんの名前が、次々と真っ暗な画面に白い文字で流れていく。他のお客さんがちらほら帰るのが見える。
「私あなたとだから恋愛してる。あなたとだから結婚したい。」
映画の主人公が彼氏に言っていた。
近くで新しい出会いを探したほうが楽なのかもしれない、そう思っていても
どんなに悲しくてもどんなにつらくても遠距離恋愛やめたいと思っても、やっぱり彼に別れを告げられない。
そんな私だから、
彼女は、まさしく私だと思って、
そのセリフを何度も何度も頭の中で繰り返して繰り返して。
でも、彼は……?
彼もそう思ってくれているのだろうか?
映画の中の主人公は、そのセリフを彼に直接言っていた。
彼から俺もだよと言われる自信はあったのだろうか。
彼女とちがって、
今の私には
愛してくれているという自信も、思いを伝えることも、聞く勇気も、もうなくて。
誰もいなくなったシアターの中、もう少しだけ私はそこで泣いた。