ばかって言う君が好き。

 こうして話していると、私がしていた我慢も大したことなかったのかもしれない。もっと単純なことだったんじゃないかな、そう思えるけど、でもそうじゃないんだよね。

あの時の私は私で精一杯で、
そのときできる最大限の努力をしていて。

彼に思いを伝えている一方で、自分自身にも私は言い聞かせていた。あ―このときつらかったよね、よく我慢したね、そんな風に。

彼と一緒に過ごせなかった1年。
だけど、座りあえばこの感じ。
なんでこの人のそばは、こんなにも心地よいのだろう―――。

「私ね、直人から愛されてる自信なくしちゃったの。」

「うん。」

「だから、連絡がないことに対して何も言わなかったし、寂しいとか会いたいとか、後半言わなくなって。

私ずっとつらかった。」
 目に涙を浮かべてしまった私に、彼は口づけした。

「ごめんね。俺も余裕がなかった。

俺は仕事に入り込んじゃうところがあって、それで倫子との連絡ないがしろにして…本当申し訳ないって思ってる。

正直、倫子が連絡くれなかった2週間で、倫子の大事さ気づかされてさ。」

「うん。」
 彼は私の手を握る。

「それで気づくなんて、本当馬鹿だなって思うし、倫子もそれってどうなの?
って違和感に感じてるかもしれないけど、

でも、倫子が今までため込んだ分、頑張って耐えたくれた分、これからもっと大切に、倫子の事支えていきたいって思ってる。」

「うん。」

「俺さ、、」
 彼がうつむく。ちょっと言いずらそうに。

「うん、何?」
 私は彼の顔を覗き込む。

「……もう倫子しか好きになれないんだよね。」
 そう顔を上げて私に告げる彼。

照れた表情、はにかみながら彼は私のおでこに自分のおでこをくっつけた。
顔を見られたくないとばかりに。

「直人が照れてる。」
 思わず笑ってしまう私。

「うるさい。」
 そう言う彼も笑っていて。


もう二度とできないと思っていた、やりとり。
またできるなんて。
それも彼の体温を感じながら――――。

「大好き、倫子。」

「直人、大好き。」
 それから彼からのたくさんの贈り物という名の口づけ。

意地悪な彼は、私が弱い耳と首を攻めてくる。

「あ……っ、だめ。」
 そう言っても、彼はいっこうにやめずに、ますます私をいじめる。

「あー可愛い、大好き。」
 何度も何度も。

「ばか。」
 照れながら笑う私。

「本当は?ほんとうは?」
 彼がまた顔を近づける。


大好きよ。

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