ばかって言う君が好き。

 直人が帰って数週間がたった。
触れたい時に触れない、会いたい時に会えない、そんな……辛い日々。

でも私、前よりあなたを近くに感じてる。

ピンポーン
『今日の夜電話するかも…!』
 携帯を見ながら、私はふふっと笑う。
私達は繋がっている、離れていても心は―――


ガチャ。仕事から帰った私。

一息ついて、テレビを見ながらご飯を食べる。昨日作った2日目のカレー。やっぱりカレーは2日目だなぁとふと思いながら、ご飯を食べ終わった私はお風呂を沸かした。

クワズイモの植木の周りに敷いているタオルを変えながら、お風呂が沸けるまで時間を潰す。

ピピピピー
「お風呂があと5分でわきます。」

「は―い。」
 お風呂のアナウンスに返事するなんて、子供みたい。でもこれは彼のせい。

彼が毎日お風呂のアナウンスに返事していたものだから、私もついその癖が移ったようで。

どこかで聞いた、彼色に染まるってこういうことなのかな。


電話が鳴る。きっと今噂してた人。
お風呂に先に入ってしまおうかと思ったのだけれど、彼の電話に勝るものはないんだよなぁ…。

「もしもし?」

「もしもし。」

「倫子、何笑ってんの?」
 あなたと電話できてうれしいからだよ、なんて言えるわけもなく。

冗談ぽく受け流してもいいのだけど、本当にそう思ってるから、きっと冗談ぽく言っても彼にばれてしまう。

だから―――
「何でもないよ。」なんて。

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