マルチな彼女に首ったけ!

☆秋川ひとみ side

(今日の予定は………特売のチラシチェックして、レジに特売登録して、ああ、発注もあるし。)

住んでいる公営住宅から職場のスーパーマーケットまで徒歩10分程度だ。
毎日、本日の仕事の予定を考えながら急ぎ足で歩く。

今の職場に勤めて4年が過ぎた。
本社のある隣町に実家があり、そこで生まれ育った。
本社の『サトウスーパーマーケット』に就職して、研修が終わったら隣町のこの支店に配属されたのだ。

初めての独り暮しももう、4年になる。
寂しいと思う間も無い程の目まぐるしい日々だった。

たまに食事に行く友人は出来たけど、異性との付き合いは何となく敬遠していた。

買い物に来るお客様からも息子やら親戚やらとチラホラ話は持ち掛けられるが、どれもお断りしていた。

「町コンに参加しょうよ~!」
昨夜、友人から電話で誘われた。
出会いの少ない独身者の為の、有志で企画運営のコンパで、毎年やってるらしい。
昨年も誘われたが、忙しいからと断った。

まだ24歳、されど24歳。
一生お一人様でいたいとも思えないが、まだ焦りを感じたくもなかった。

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