こんにちは、頭蓋さん。



すぐに手を離すと頭蓋さんは戸惑いと焦りで顔が真っ青だった。



「……あや」

「嘘です。菓と腕組むなんて一生ないですこんな友達いない奴と友達になってやる義理すらありません」

「それ桐島が言えたことじゃないだろー」



クツクツ笑う菓は。



「あ、俺待ち合わせしてるんだったわ行かなきゃー」



と言ってこの場を退場した。


あんた友達いないんじゃなかったの、と少し遠ざかる彼に問えば、今から会うのは幼馴染だと。その境界線はなんなんだ。



「本当に菓とはただの知り合いってだけですよ」



少しの無言の後、頭蓋さんは微笑んだ。



***



広場から近い映画館へと歩きながら、映画について聞いてみた。



「今日は何観るんですか?」

「アニメ映画だよ。ほら、後ろのトロロで有名な会社の」



はあ、意外だ。てっきりアクションものか洋画かと思っていたんだけど。



「有名な映画監督と美術監督がそろったやつなんだ。多分CMでもーーあ、綾のとこテレビないのかぁ」



困ったように笑う。残念ながらCMなんて見れないんだなあ。


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