【B】きみのとなり

「もうっ、ソファーが汗臭くなるじゃん。
 せっかく掃除したのに」

「……すまん」

「もう、ほらっとっとと脱ぐ」



兄貴に近づいて、その瞬間から、シャツを引っぺがす。


あっという間に上半身を裸にした兄貴。
兄貴の首からは、海兄のエターナルペンダントが見える。


そのエターナルペンダントへとそっと手を伸ばし、
指先でそのプレートを辿った。




ねぇ、海兄……。

アタシが傍に居ない時も、
海兄が兄貴を守ってね。

約束だよ





心の中で話しかけてる途中に、
兄貴はアタシから逃げるように離れていく。



「もーう、せっかく海兄と話してたのに。
 あぁ、残念。

 ほらっ、お風呂の用意ちゃんとしてるから入ってきなよ。
 これ着替えねー」



兄貴に着替えを手渡すと浴室の方へと向かった兄貴を見届けて、
私は流しに移動して、洗い物を始めた。



洗い物の後は先ほど兄貴が座ってたソファーに、消臭除菌スプレー。

プシュプシュとスプレーをしている間に、
浴室からさっぱりして出てきた兄貴の呆れたような声。


「おいおいっ、お前。どんだけ、オレが臭いんだよ」


苦笑い交じりの呆れ声と共に再びソファーに座った兄貴はバスタオルで髪の毛をガシガシとタオルドライしながら、
テレビへと視線を向けた。


そんな兄貴に、冷たいお茶を再びコップに入れて差し出す。


その後は、リビングの入り口に放置されたままの兄貴の鞄へと視線を向ける。

近づいて鞄を持ち上げて、問答無用でファスナを開くと、
兄貴の着替えが次から次へと詰め込まれているのを確認する。


レジ袋に無造作に詰め込まれた兄貴の着用済み衣類が入った袋を開けては、
クンクンと臭いをかぐ。


そして「クサっ」って、兄貴に聞こえるように
わざと大きく言葉にすると、兄貴の表情を見て楽しみながら洗濯物を手に、
再び浴室の洗濯機へと向かった。





こうやって、兄貴の洗濯ものをする。

ただそれだけのことなのに、兄貴を近くで感じられて、
兄貴の反応を見ながら、その存在を強く感じられる幸せをかみしめてる。




洗濯のセットを終えると少しでも兄貴と同じ時間を過ごしたくてリビングへと戻ると、

兄貴の座るソファーの隣になるように床にペタリと座り込んで、
兄貴の体に頭を預ける様に体を上向きにして兄貴を視線でとらえる。



「ねぇ、嵩兄。
 今日はずっと一緒に居られる?

 晩御飯、何がいい?」



呟くように問いかける。



「今日はいれるぞ。

 少し休憩したら、晩御飯でも買い出しに行くか。
んで買い出しついでに、プリンでも買ってお前も勇人の所、顔出すか?

 あれにもきっちり、お前に詫び入れさせないとな」

「ったく、仕方ないなー。
 仕事の休みはあっても、お兄ちゃんの休みはないもんねー」





ったく、バカ兄貴。

オフの日もやっぱり、『勇人』なんだから。



そのまま一気に起き上がると、
兄貴の隣のソファーに座りこんで、一気に兄貴に抱き着いた。



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