記憶の中で生きる君へ、この空に誓う
「高塚……静月、高2です」
「高塚…静月。良い名前だな、そうだなぁ……俺、静月って呼んでもいいか?俺の事も、蒼大って呼んでいいからさ」
「あっ……いや、それはハードルが高い……です。えーと……なら、蒼大先輩で……」
「ん、これからよろしくな、静月!」
そして差し出された手に、私はそっと手を重ねる。
その手は、大きくて、温かくて、少し硬いと思った。
生まれて初めて触れた、お父さん以外の男の人の手。
「よろしくお願いします、蒼大先輩……」
手をとった私に、蒼大先輩が笑みを浮かべてくれた。
ずっと一人だった私が、こうして誰かの手に触れる事があるなんて……。
それに、胸がホッコリと温まり、私は不思議な気持ちで、蒼大先輩を見つめ返す。
これが、私と蒼大先輩の真実を求める、長い旅の始まり。