雨宿りの星たちへ
 


 * * *



「ミウは、本当にオムライスが好きねぇ」


一般的なファミレスほどの広さの食堂は、決してオシャレとは言えないけれど、いかにも病院内の食堂らしい、清潔感と簡素感を漂わせていた。

小さい頃、おじいちゃんのお見舞いのために病院を訪れた時に、何度か食堂を利用したことがある。

あの頃は子供心にメニューに物足りなさを感じた記憶があるけれど、今思えば病院内の食堂にファミレス並みのメニューの充実を求めるほうがどうかしていた。

それでもその中で、私は毎回決まってオムライスを頼んで食べていて、一緒に来ていたおばあちゃんを呆れさせたんだ。


「だって、オムライスって美味しいんだもん」

「はいはい、ホント、昔から変わらないんだから」


ぐるりと席を見渡せば、お見舞いに来たらしい人たち、お母さんと同じようにお昼休憩中の看護師さんやお医者さんたち、従業員さんたちが、それぞれに食事をとっていた。

食券を買い、トレーに乗った料理を受け取ると、私たちは偶然空いていた窓際にある四人掛けの席へと腰を下ろす。

真横にある大きな窓からは敷地内の庭が見えて、黄金色に輝く銀杏の葉がキラキラと陽の光を浴びながら揺れていた。

 
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