クリア・スカイ

「――美しいセレスタイトのネックレスさん、僕に教えてください。あなたの主であるほたるという少女に関する記憶を。彼女が何に喜び、何に笑い、何に悲しみ、何に傷ついたのか。教えてください。あなたを大切に想っていた、彼女についてを……」


 柳さんは人に話しかけるように、ネックレスに話しかけた。静かに、優しく、丁寧に。


 私は目を閉じて、ただただじっと待つ。柳さんの問いかけが終わると、しばらく静寂が続いた。何も起こらない。これは失敗なの?


 柳さんだけに伝わっているの? それともやっぱり、この世に不思議な力なんて存在しないってこと……? 


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