クリア・スカイ

 体育館裏から教室に帰ると、きまって女子生徒たちにそう言われる。その言葉はどこか棘があるように感じた。

 ほたるは友達が多く、クラスでも人気がある。それは二年生になっても変わらない。変わらないからこそ、そこには妬みが生まれていく。


 太陽が照らす場所には必ず影があるように、ほたるの光が強ければ強いほど、その陰に隠れてしまう女子が多くなる。真っ暗な場所にいると光が恋しくなり、光を持っている人を疎ましく思う。

 友情の中に見え隠れする嫉妬は、しだいにほたるの学校生活を曇らせていく。


「私は、ずっと前から好きな人がいるから……」

「駆先輩だよね? もういい加減コクっちゃいなよ。それで付き合うなり振られるなりしてもらわないと、私たちも困るんだよね。いいところは全部ほたるちゃんに持って行かれるんだから」

< 167 / 318 >

この作品をシェア

pagetop