クリア・スカイ

「あー、でも、さすがのほたるちゃんでも振られちゃうんじゃない? 駆先輩は陽咲先輩とすっごくお似合いだもん。部活引退前は毎日一緒に帰っていたしさー」

「あ、それ分かるー! すごく楽しそうに帰っていたよね」

 ほたるの気持ちを無視して盛り上がる会話。好き勝手に言われて、気分がいいわけがない。でもほたるは、決して反論しない。何も言わずに、笑って話を聞いているだけ。

 教室の中が暗く感じるのは、空が厚い雲に覆われているせいではない。この空間の中には黒い感情が渦巻いている。

 自分よりも優れているものに嫉妬する気持ちは、この僕にも分かる。

 僕だって、ダイヤモンドを見たら羨ましく思うよ。高い価値をつけられて、世界中の人々を虜にするような石になりたいと思う。

 
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