クリア・スカイ
 
「こちらこそ、突然話しかけてしまってすいません。土曜日、楽しみにしています!」

「話しかけてくれて嬉しかったです。それじゃあ、病院まで気を付けてください」

「はい、ではまた」

 河原で柳さんと別れの挨拶を交わした後、私は再び自転車に乗って走り始めた。


 自転車で二十分ほど走ったところで、目的地の病院が見えた。この島で一番大きい総合病院であり、この病院を知らない島民はいないだろう。


 駐輪場に自転車を停めて病院に入る。もう何度も通っているけれど未だに病院の雰囲気にはなれない。とくに独特な消毒液のにおいは好きになれないでいる。


 いつもの順路を通り、ある病室の前で足を止める。その入り口には〈海堂ほた
る様〉と書かれていた。その文字を目でなぞる度に鼻の付け根がツンと痛くなる。

 
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