クリア・スカイ
ほたるの目の前で泣いたりしたら、きっと彼女は悲しむのに。分かっていても、やっぱり心は衝動的に動かされるものだ。
「あーあ、また泣いてしまったわね。顔がもうぐちゃぐちゃ。ティッシュどこにしまったかしら……」
女将は手で涙を拭いながら、ベッド脇の棚からティッシュ箱を取り出した。
「はい、ティッシュ使って」
「ありがとうございます」
「あっ。あとこれ……」
ティッシュで涙を拭いていると、さらに女将は私の目の前にあるものを見せた。女将の手のひらにあるのは、ほたるが肌身離さずつけていたセレスタイトのネックレスだった。青空と同じ色の石がとても美しい。
「この前ほたるの部屋を掃除していたら見つけたのよ。優子さんに、陽咲ちゃんとお揃いのネックレスだって聞いてね。陽咲ちゃんにつけてもらえたらいいなって思って」