クリア・スカイ
 
「とっても似合っているよ。やっぱりデートの日はスカートに限るわよねぇ」

「えっ? で、デートな訳ないじゃん。っていうか、なんでそんな事言うの」

「この前海堂旅館の方に会って聞いたのよー。陽咲が素敵な男性客と出かけるってね。あ、もちろんお父さんは知らないから安心して」


 そう言ってウインクをする母親。全然可愛くないのは置いといて、そんな噂が広まっているなんて怖すぎる。女将が話したのか、柳さんが話したのかは分からないけど。

 あっという間に噂が広がる、プライバシーのない環境が時々嫌になる。


「とにかく、デートじゃないから。ただの観光案内だから! じゃあ行ってくる!」

 怒り気味に挨拶をして家を飛び出すと、目の前にはなぜか駆の姿があった。


 
< 55 / 318 >

この作品をシェア

pagetop