クリア・スカイ
自転車に跨って、じっとこちらを見ている。よく分からないロゴが書かれた黒のTシャツにゆるめのジーンズ、腰回りにはごつごつしたチェーンが付いている。
「よお。おはよう」
「おはよ。どうしたの? 陽太と遊ぶ約束でも?」
「いや、俺は……陽咲についていこうと思って」
「……は?」
「今日、東京から来た男に島を案内するんだろ。それに俺も付き合おうと思って」
いやいや。いやいやいや。私の幼馴染は一体何を言っているのだろう。びっくりしすぎてどう反応すればよいかも分からない。
「えっと……、私の約束に駆は関係ないでしょ。ついてこなくていいよ」
「関係なくはないだろ。幼馴染が危険な目に遭うかもしれないだろ。それに島のことは俺の方が詳しいはず。たぶん」
「タメなのにどっちが詳しいとかはないでしょ。とにかく、ついてこなくていいから。っていうかついてこないで!」