クリア・スカイ

 澄ノ島の冬は厳しい。日本海側に位置するため、冬は毎日雪が降り、風も強く、雷まで鳴る。海は荒れに荒れまくり、フェリーが欠航になることもしばしば。


「朝は夏よりも二時間早く起きて降雪状況をチェック。雪かきして早めに家を出ます。道路が混むので車もバスも遅れがちになるんですよ。とにかく冬はほんとに辛くて。毎日曇っていて、こんな風に太陽の光を見ることも出来ない」

「おい、あんまりそういう事言うなよ。島のイメージが悪くなるだろ。……まぁ、全部本当だけど」

「ごめん。確かにマイナス要素ばっかり言い過ぎた。……柳さん、冬以外は最高ですよ、この島は。たぶん!」

「たぶんって言うな!」


 美しい海を前にしているのに駆とまた口げんか。でも今回は私が悪かったと思う。せっかく島の観光をしていたのに、島の悪口を言ってしまうなんて軽率だった。

 最後の最後に失敗してしまうなんて最悪だ。

 
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