恋愛結婚させてください!
第2章 微妙な関係。

遅い春。

「コムギ、いつから許婚がいたの?
それに昨日レストランの駐車場でキスしてたって本当?!」
と朝、早い時間にナースステーションに入ると、
深夜勤だった同期のサクラ(清水 さくら)と山西先生に捕まって、問い詰められる。
(サクラは165センチ、スレンダーな体型をしていて、ショートカットがよく似合う、テキパキ働く、出来るオンナだ。リーダーデビューはとっくにすませて、一人前のナースとなっている。)

「うー、えーと。
私が知らないうちに許婚がいたらしい。
キス…はよけられなかった。」とボソボソ言うと、
「ひゃー。本当なんだあ。
さっきまで信じられないって思ってたけど、
へええええ。」とサクラが大声を出す。
「芦沢先生って真面目な顔して、手が早いね。
うなじにキスマーク付いてる。」と山西先生が笑う。
「ウソ!ど、どこ?」と言うと、指をさしてクスクス笑う。
私は急いで髪を下ろして、横むすびにし、右の首の後ろを慌てて隠す。知らなかった。
胸につけただけじゃなかったのか。あいつうう。
アップのままだとバッチリ見えてた。
「きっとワザとだね。独占欲が強い男って事だ。
ちゃんと聞かせなさい。
勤務が終わったらDragon&Tigerで待ち合わせね。」とサクラは私を見る。
(サクラは竜二さんのファンだ。
気だるい雰囲気がオトナの色気があるって事だ。
竜二さんのファンはたくさんいるけどね。)
私はうなずき、大きくため息をついてから、リーダーのパソコンを開いた。
先が思いやられる。

トウマ君は昨日寝る前と朝にも電話をかけてきた。
律儀だ。
恋人なら合格点をあげてもいい。
…本当の恋人ならね。
やれやれ。

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