恋愛結婚させてください!
しばらくすると、
熊のような外見の南沢部長がやってくる。
そばには見知らぬ、白衣の男が付いてきている。
背が高く細身。短い黒い髪は少しくせっ毛だ。銀縁眼鏡に涼しい瞳。
生真面目そうに硬く結ばれた薄い唇。
「明日から、配属になった芦沢 斗真(あしざわ とうま)君。
6年目だったか?(研修医の2年間はカウントされない)まあ、中堅ってことだな。」
と隣の男をみて、私の前に座った。
「蒼井(あおい)君は今日からリーダーデビューだったな。」
と柔らかく私に笑いかける。
まあ、けっこう外見に似合わない可愛い笑顔。
「はい。よろしくお願いします。」
と私は南沢部長に笑いかけながら、頭を下げ、隣の医師に向かって、
「3年目のナースになります。蒼井 麦(あおい むぎ)です。」
と言うと、ちょっと驚いた顔をして、
「麦、って名前なのに伸びが悪いな。
あいかわらず、コムギだな。」と失礼な事を言って、薄く笑う。
(コムギって呼ぶのは家族と親しい友人だけだ。)
私は驚いて見知らぬ男の顔を見る。

「久しぶり。コムギ。トウマです。
君の兄貴 大河(たいが)の親友。って言ったら思い出す?」
と私の顔をジーッと見た。
「え?ああ!トウマ君?よく、うちに遊びに来てた。」
なんとなく覚えてる。
小学生に入ったばかりの時、ご両親の離婚で引っ越して行った。
私と兄とは7歳違うから、トウマ君はその時、中学生だった。
それ以来、ずうーっと会っていない。
医師になったんだ。
それも小児科医。ビックリだ。


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