デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
普通、何日か前に決められ、王都に触れが出るはずだ。
当然、今回自分が王都に行く前に、武官長から一言知らされていてもいいはずだが。
それがなかったということは、この視察は急に決まったものらしい。
ともあれ、王が街に出るとなると、一切の交通が止まるので、当然その間は大門も開かない。
(……王の視察が終わった夕方あたりに、王都を出るしかないか)
大通り沿いの住人たちは、王の行列が通る間中、脇によって深く礼をしなければならないが、それ以外の王都の民はその日は一日家にこもり、身を清めて余計な物音をたててはならないことになっている。
「てことは、明日の夕方まで、宿の部屋でこもってないといけねえな」
つぶやくシュリの言葉に、「えっ」と青くなる桜。
その顔色を見てふっと笑い、その体を抱きしめた。
「……たっぷり、時間はあるな」
「………!!」
もうとても我慢できず、落馬する覚悟で降りようともがいた。
だが、あっさりと腕を捕らえられ、後ろに回された。
「う…」
痛くはないが、びくともしない。
「武官から、武術の心得もないお前が逃げられると思ってんのか?桜」
再び耳元に唇を寄せて、熱い息と共に静かに告げる。
「やろうと思えば、すぐそこの裏路地に連れこむ事も、今この場でお前を抱くことも出来るんだぞ」
怯えに揺れる瞳をなだめるように、震えるその唇をもう一度。
「そんなマネ、俺だってしたくない。けど……もうお前は俺のものだ」
そうきっぱり言い、宿が建ち並ぶ王都の色街へと入っていった。
当然、今回自分が王都に行く前に、武官長から一言知らされていてもいいはずだが。
それがなかったということは、この視察は急に決まったものらしい。
ともあれ、王が街に出るとなると、一切の交通が止まるので、当然その間は大門も開かない。
(……王の視察が終わった夕方あたりに、王都を出るしかないか)
大通り沿いの住人たちは、王の行列が通る間中、脇によって深く礼をしなければならないが、それ以外の王都の民はその日は一日家にこもり、身を清めて余計な物音をたててはならないことになっている。
「てことは、明日の夕方まで、宿の部屋でこもってないといけねえな」
つぶやくシュリの言葉に、「えっ」と青くなる桜。
その顔色を見てふっと笑い、その体を抱きしめた。
「……たっぷり、時間はあるな」
「………!!」
もうとても我慢できず、落馬する覚悟で降りようともがいた。
だが、あっさりと腕を捕らえられ、後ろに回された。
「う…」
痛くはないが、びくともしない。
「武官から、武術の心得もないお前が逃げられると思ってんのか?桜」
再び耳元に唇を寄せて、熱い息と共に静かに告げる。
「やろうと思えば、すぐそこの裏路地に連れこむ事も、今この場でお前を抱くことも出来るんだぞ」
怯えに揺れる瞳をなだめるように、震えるその唇をもう一度。
「そんなマネ、俺だってしたくない。けど……もうお前は俺のものだ」
そうきっぱり言い、宿が建ち並ぶ王都の色街へと入っていった。