デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
それに逃げたところで、行く場所なんかない。

また、悲しさと絶望感が胸に迫る。

(ほんとに、途方もないところに来ちゃったんだな…どうやったら、帰れるんだろう…)

シュリの馬に揺られながら、ぼんやりと青空に浮かぶ二つの天体を見る。

せめて、言葉が通じたら。そう思わずにいられなかった。

『王都にはどのくらいかかるんだろうな』

シュリが横で馬を進めるアスナイに聞く。

『5…いや、7日というところか』

『そんなにかかるか?来る時は4日でキトニに着いたじゃねーか』

驚くシュリに、アスナイは言う。

『それは俺とお前二人だけで日中、馬を飛ばして来たからだろ』

チラリと、シュリの前に座る黒髪の少女を見やった。

『怪我人の女を連れては同じようにはいくまい。また倒れられては困る』

このキトニの街を出たら、しばらくは大きな街はない。ひたすら馬で移動し、野宿が主になるだろう。

< 104 / 1,338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop