デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
桜の身柄は保護したのだから、後は無理のない範囲で王都を目指した方がいい、と彼は言った。

『うーん…またしばらく野宿か…肩こるんだよなー』

顔をしかめて、シュリは首を回す。

『お前何でそんなに野営が苦手なんだ。見てくれに合わん』

『寝るときだけは柔らかいベッドで体を伸ばして寝てえんだよ。見てくれは関係ないだろ。お前と違ってセンセイなんだ』

『…繊細、な』

そんなやりとりをしていると、キトニの関門が見えてきた。

『門番がいるな。シュリ、娘にフードをかぶせて、髪の色を隠せ』

『おう。…桜、ちょっとこれかぶれ』

目深にマントのフードをかぶり、目を伏せる桜。二人が門番に武官の紋章を見せると、すぐに扉は開かれた。

王都への旅路の始まりだった。


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