デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
『……おい、……さく』

『あー!てめえアスナイ、また!』

触れかけた手が、怒気をはらんだ声にビクッと止まった。

バサリ、と狩ってきたウサギや鳥を火の近くに放ると、シュリは厳しい眼差しでアスナイの目の前に立った。

『お前な、いい加減にしろよ。昨日から』

『…………』

『自分の気に食わないからって、他人を追い詰める権利が、お前にあんのかよ』

反論など、できるはずがない。

マントの中で、拳を握りしめる。

『…おい、桜。おい』

ためらいなく、シュリの手が桜の肩を優しくたたいた。

ようやく、涙でくしゃくしゃの顔が上げられる。

「…シュリさん」

『ぶはっ、ひでー顔。ほら、これで拭けよ。美味いもん獲ってきたぞー。お前ずっとまともなメシ食ってなかっただろ』

ニコッと笑って、自分の顔を指差しながら、手ぬぐいを渡すシュリ。

やっと桜の顔色が戻り、ホッとしたような小さな微笑みをうかべた。

「…ありがとうございます、シュリさん」

その言葉に、アスナイの胸はまたチリッと痛んだ。
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