デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「………」

何とも言えず、二人は目の前の少女を見つめた。

「一緒に、ついて行けたらいいのにな……」

「えっ!?」
「何っ!?」

二人の声に、桜はハッと口をつぐんだ。

しまった、口を滑らせた。何て図々しい事を。

「あぁ、ご、ごめんなさい!お二人と離れると思ったらつい、不安になってしまって!でも、大丈夫です。ほんとに、お世話になりました。お仕事頑張って下さい」

顔の前で、あわてて両手を振って見せる。

(うう…デブスが、身の程知らず……)

二人が優しくしてくれるから、つい調子に乗ってしまうんだ。桜は自戒しようと、背筋を伸ばす。

(あーいけないいけない。シュリさんもアスナイさんも、お仕事で私を大事にしてくれてるだけなんだから!勘違いしたらダメ!)

うん、と一人納得したらしい桜を、何か嫌な予感がしながら見る二人。

そうこうしているうちに、馬車は公宮に到着した。
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