デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
あの美人さんは、王様の『お世話をする』って言っていた。
じゃあ女官なんだろうなあ…と思いながら、ソファに腰掛ける。

でも、女官の格好っていったら……

――――コンコン。

「はい」

「失礼いたします。夕餉をお持ちいたしました」

すっと戸が開いて、昼間に来た二人の若い女官が入ってきた。

(……そう、これ。この白いザックリしたワンピースだけかと思ってたんだけど)

膳を並べて、二人は桜の前に立った。

「桜様、お昼は大変なご温情をいただき、ありがとうございました」

深々と頭を下げる。桜は焦って手を振った。

「いや、やめてください、お菓子じゃないですか。頭を上げてくださいお願いします」

どうも、苦手だ。このかしずかれる感じ。

「は、はい………」

二人は二人で戸惑って頭を上げた。

「あのう、聞いてもいいですか」

「?はい……」

ぱちぱちとまばたきする女官たち。

「王様の深宮にいる、ピンク色の、なんかセクシーなワンピースを着てる女の人って、お二人と同じ女官さんなんですか?」


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