デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
無理やり平静を装って、桜をくっと睨んだ。

「………では、私との約束はどうするのだ。その日は、こうして話ができぬではないか」

あ、と気がついたように身を引き、少し考える。

「そうだ、じゃあ明日は明後日の分までお話するっていうのはどうですか?」

「何?」

「明日は、私の質問は結構です。王様の聞きたいお話をしましょう。そしたら二日分ですよね!」

なんて名案!と言わんばかりの笑顔に、憮然とした表情の王。

(……そういう問題ではない)

今朝、あんな苦しい告白をして、桜もその愛情を信じてくれると言ったのに。

本当に分かっているのだろうか、この娘は。

不安というか、桜の中で自分の存在がどのくらいを占めているのか。
吹けば飛ぶような位置づけならば、もう一度、しっかりと心に刻ませねば―――

それにこのまま、思いがけない可愛い懇願にあっさり屈するのも何だか癪だ。

どうしたものかと思った時、ある考えが浮かんだ。
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