MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「女王様、お怒りにならないでくださいね。雨足が強くなってきましたから~」

 萌奈ちゃんまで悪ノリをして私を女王様呼ばわりしてくる。
 溜め息を吐きつつ店内から窓越しに外の様子をうかがうと、萌奈ちゃんの言うとおり、先ほどまで小雨だったのに雨足が次第に強くなってきた。

「明日も……雨降るんですかねぇ?」

「ん? 明日なんかあるのか?」

 そっと私がつぶやくと、窪田さんが降ったらまずいのかと不思議そうな表情で尋ねた。

「明日はほら、丹沢(たんざわ)さんの結婚式じゃなかったでしたっけ?」

 ――― 丹沢さん。
 その人物の名前を出したのが気に入らなかったのか、窪田さんからは軽い舌打ちが返ってきた。

「梅宮、お前はお人よしだな。あんなヤツの結婚式なんて雨が降りゃいいんだ! 土砂降りの、ザーザーの、雷ゴロッゴロの!」

「……そこまで言わなくても」

 こんなに窪田さんが憤慨するなら名前を出さなければよかった。
 苦笑いでたしなめると、フンっと鼻をならしたあと、窪田さんも言葉を飲み込んでくれた。

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