MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「ひなた、不倫はダメだよ?」

 ぼうっと日下さんの姿を目で追っていると、今まで冗談っぽい口調だった樹里が真面目な顔つきになって釘を刺してきた。

「わかってると思うけど不倫だけは絶対にダメ。茨の道どころか、地獄に落ちるからね」

「……わかってるよ」

 苦笑いを浮かべながらしっかりとうなずいた。
 あんなにお似合いで素敵なツーショット見せられたら、横恋慕する気も起きやしない。

 夢なんか見ない。
 夢を見て突っ走れるのは、純粋な十代だ。
 今は夢破れて傷つく痛みを想像できてしまう年齢になった。やみくもには突っ走れない。

 色恋だけがすべてではない。
 結婚だけが幸せでもない。
 分岐点にいるアラサーだけれど、自ら間違った道には進めない。

 磁石に引き寄せられるように、会えば会うほど日下さんに魅力を感じているのは事実だ。
 だけど、ここで踏みとどまらなければけない。

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