MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「いらっしゃいませ」

 走りこむようにして入って来た背の高い男性客を目にした途端、私はあわててポケットからハンカチを取り出した。

「あの、よろしかったら使ってください」

 近寄って男性に差し出してみたけれど、ずっとポケットに入れていたからヨレヨレになっていないだろうかと心配になる。
 ハッと気づいて手の中のものを確認すると、さほどヨレてはいなくてホッとした。

 その男性客は傘を持っていなかったのか、突然降ってきた雨で頭や肩が濡れていたのだ。
 しかも服装は高そうなスーツ。きっと仕事の途中だったのだろうと思うと気の毒になった。

 だけど急に駆け寄った私の行動を奇妙に感じたのか、なかなかハンカチを受け取ってもらえない。
 おそるおそる、男性の顔を伺うようにそっと見上げる。
 その瞬間、自分でも驚くくらいドキンと心臓が跳ねた。

 くっきりとした二重瞼と高い鼻筋の持ち主で、顔の輪郭はシャープで美しいラインを描いている。
 元々少し癖がありそうな黒髪が雨に濡れ、ウェーブがかかっていてカッコいい。

 要するにイケメンなのだけれど、こういうのを別の言い方でなんと言っただろう?
 ……あ、“眉目秀麗”だ。

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