MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「なんの話だ?」

「あなたがね、仕事の合間を見つけてはマンション探しをしてるって。会社にはわざわざ私の耳に入れてくる人がいるのよね」

 あきれた。下世話な噂好きもいるもんだ。
 人のプライベートを詮索してなにが楽しいのかと悪態をつきたくなる。

 俺がマンションの物件を探しているのは事実だ。
 梅宮ひなたが自宅アパート近辺で暴漢に襲われた。犯人は未だに逃げたまま逮捕されていない。

 あのとき彼女は悲痛な声で俺に電話してきた。その瞬間、俺は激しく動揺した。
 あんなに心を揺さぶられたのはいつぶりだろうか、と思うくらいにあせった。
 
 しばらくホテルに泊めようとしたのに、あのアパートに戻ると言いだす始末だ。
 強姦未遂があったんだぞ? そんな危険な場所に帰せるわけがない。

 幸い本人も引越しの意思があるようだったから、勤務先の近くでセキュリティーもしっかりしていて、なおかつ彼女が払っていけそうな家賃のマンション物件を探していただけだ。
 新居が決まるまで、しばらく友人のところに泊まると言っていたが、とにかく急を要する。

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