MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 そこは駅とは反対方向でマンションが立ち並ぶ一角だった。
 私たちが到着すると、白の軽自動車から男性が出てきてペコリと頭を下げる。
 仲介を担当してくれる不動業者の人は、にこにこと愛想の良い四十代くらいの中年男性だった。

 案内されたマンションはオートロックでセキュリティーもしっかりしている。
 私が住んでるアパートとは雲泥の差だ。

 襲われるなどというショッキングな出来事があると、さすがにこういうところに魅力を感じてしまう。
 いくら家賃が安いとはいえ、今までセキュリティー面をまったく考えなかった自分を叱責したい。

 部屋を見せてもらうと中も綺麗で、五階の窓からの景観も悪くはなかった。
 1LDKだが、家具などがないせいかリビングが広く感じる。私には十分すぎるくらいだ。

「どうする? ここに決める?」

 日下さんが私に小声で問う。
 今のアパートに比べたら家賃は俄然高くなるけれど、たしかに日下さんが言うように相場よりも安い。
 私もネットでいろいろ探してみたから、それくらいはわかる。
 結局私はその部屋を借りることにした。

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