MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 バイクで跳ね飛ばせば相手の命の保証はない。
 跳ねられた日下さんは、運が悪ければ死んでしまっていたかもしれない。
 そうなると故意に跳ねた棚野さんは殺人犯だ。

「素直に言うことを聞いて、俺と付き合っていればよかったのに」

 私の決断が……彼を追い詰めたのだろうか。
 付き合えないと言った私の言葉が彼を傷つけたから?
 それが原因でこんな猟奇的な行動を起こさせたのかもしれないと思うと、本当に胸が痛い。

「どうしちゃったんですか。穏やかでやさしい棚野さんは、どこに行っちゃったんですか?」

 目の前にいる男性は、私の知っている棚野さんではない。
 まるで人が変わったように気味の悪いことを言う別人だ。
 彼をこんなに変えてしまったのも、私なのだろうか。

「穏やかでやさしい? それはひなたちゃんに気に入られるために作ってた人格だよ」

「どういうことですか?……」

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