MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「日下さん。ご迷惑をおかけしてすみません」

「どうして君が謝るんだ。悪いのは犯人のあの男だろう」

 ……それはそうだけれど。
 これは私と棚野さんの問題で、彼の交際の申し出を断ったことが原因なのだ。
 日下さんを巻き込み、あんなに危険な目にまであわせ、こうして私の付き添いをさせてしまった。
 考えれば考えるほど申し訳なさすぎて自然と頭が下がる。

「俺こそ悪かった。君に大怪我をさせてしまった」

「……いえ、そんな」

「もどかしくて悔しくて、自分に腹が立つ。君を守りたいと思っていたのに守れなかった」

 いつもポーカーフェイスの日下さんが、苦渋に満ちた表情で顔を歪める。

「日下さん……」

 気の効いた言葉をなにか言いたい。
 私が口を開きかけた瞬間、日下さんの長い腕が絡まり、私の身体はすっぽりとその広い胸に閉じ込められた。

「本当にごめん。……守れなくて」

 抱擁なんてしてはいけない。
 それはちゃんとわかっているのに突き放せない。
 今の弱った私にそんな強い気持ちはない。

 ただ、涙があふれてくる。
 日下さんの胸が、こんなにも温かいから。

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