MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
◇彼の正体と土砂降りの雨
***

 翌日、店長に事情を話してシフトを調整してもらい、しばらくは早番だけにしてもらった。
 それから一週間が経過したが、以降アパート近くに不審者が現れることはなくてホッとしている。
 このまま終息してくれればと、今は願うしかないのだろう。

 それよりも……棚野さんからの告白はどうしたものかと未だに悩み中だ。
『考えて』と言われて日にちが経ったけれど、未だに自分の中で答えが出せていない。

 同僚だったから、棚野さんの人柄はよく知っているつもり。
 しかし私の気持ちがはっきりしないのに、とりあえず付き合うのはどうなのだろうかと、そこが引っかかっているのだ。
 好きになれると思って付き合ったけれどやっぱり無理、というパターンも考えられる。そうなると棚野さんを傷つけてしまう。

 いい加減な気持ちでは付き合えないな。
 考えあぐねた結果、それが私の答えになりつつある。
 棚野さんだって年齢的に結婚を意識しているかもしれないし、そこを考慮するとなおさらだ。

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