愛されたい、だけなのに



って…呆然としてる場合じゃない。



また、柳先生に迷惑かけてー…



「学生のうちは、学業が優先だからしっかり勉強すること。お金のことは、きちんと働けるようになってから考えればいいから」



「!」



「バイトに関しては、夜遅くなる時は俺が迎えに行くのが条件。続けるか、続けないかは櫻井が決めればいいよ」


向い合わせで座っている柳先生が、ふっと笑った。


優しい、優しい笑顔で。


ドキドキ…



また迷惑かけて…って思っていたが、今はさっきとは正反対の気持ち。




目の前にいる柳先生に、ドキドキしている。





「あ…」


何か言わないと…



けど、ドキドキし過ぎて言葉が浮かばない。




「…夜遅くなるようだったら、連絡して。迎え行くから」


柳先生が立ち上がり、食べ終えた食器をキッチンに持って行く。



「俺、昼間はちょっと用事あって出掛けてくるから。多分、夕方には帰ってくる」


そう言うと、柳先生はリビングから出て行った。







「…はぁー」



リビングのドアが閉まったと同時に出た、溜め息。




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