Last summer
−僕じゃない誰か−

病院

目を覚ますとそこは白い部屋だった。 

ここが病院だと気付くのにそう時間は係らなかった。

起き上がると若い医者が僕に気付いた。

「目を覚ましたんだね!弘人君。」

朦朧とする意識の中で僕は辺りを見回した。

機械がそれほどないことにホッと胸を撫で下ろした。

「あの…僕……どうかしたんですか?」

僕が不安そうに聞くと、医者が能天気な笑顔で言った。

「何も憶えてないのかい?君、雷にうたれたんだよ。」



………え?!

僕は耳を疑った。

「一時期はどうなるかと思ったよ。君が付けてたそのネックレスのおかげで君は助かったんだ。」

医者は僕の首もとを指さして言った。

僕はそっとネックレスを手に取る・・・。

シルバーのネックレス。

これ・・・僕のじゃない・・・――
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