結婚も2度目だからこそ!
その日の夜、京香と向かった先は俺がよく通っている店。
大学の時の先輩がやっているちょっと洒落た居酒屋。

実は昼休み京香と別れた後、先輩に連絡して個室の部屋を取ってもらっていた。

人数は2人だと言うと、先輩は明らかに笑いながら『新しい女か?頑張れよ~』なんて言って、急な連絡にも快く応じてくれた。


お陰で店の中は客で賑わっていたけど、すんなりと個室へ通される。


京香とは向かい合って座り、早速ビールを注文。
料理は京香に任せることにした。


真剣にメニュー表を眺めている京香を見て、なんだか懐かしさを覚えた。

そういえば、新しい楽譜を渡されたときにも、京香は同じような顔で楽譜を眺めていたな。
所々難しい部分があったんだろう、たまに顔を歪ませて……。


そんな所も全く昔と変わっていない。

ふと昔のことを思い出してしまって、思わず笑みが零れてしまう。


「……なんですか、いきなり?」

笑ってしまった僕に京香は気付き、少し口を尖がらせて言った。

「いや、めちゃくちゃ真剣な顔で選んでるからさ。なんか面白くて」

「ちゃんとバランスよく摂らないと、次の日に残っちゃいますもん」

「ハハッ、京香ちゃんマジメだな~」

やっぱり真面目な部分も、昔と変わっていない。

面白いのと、嬉しいのと、よく分からない感情の中で楽しくて仕方なかった。
けど、京香は俺に言った後、少し顔色が曇ってなにか考えるように目線を逸らす。

その表情は見たことのない顔だった。


……どうしたんだろう?

俺は笑いを止めて、京香の名を呼んだ。

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