結婚も2度目だからこそ!
その優しさが、私を惑わせる。
聴かなきゃ良かったと思うほどに、そのメッセージが私の中に入り込んでいく。
――ねえ、先輩。
私が全てを吹っ切れるまで。
完全に立ち直れるまで。
先輩の、その優しさに甘えていいですか?
全てのプログラムが終わり、周りは椅子から立ち上がってホールを出ていく。
けど私は演奏会が終わっても、その場から動くことができずにいた。
どんどんと人が少なくなっていく。
舞台上では、先ほどまで演奏していた団員たちが撤収作業をしていた。
「――京香ちゃん?」
そう声を掛けられて、ハッと我に返る。
声を掛けてくれたのは、先輩。
舞台からわざわざ私の座っていた場所にやって来てくれた。
「……あ、先輩」
「どうしたの?人が捌けてもずっと座ってるから、心配して来ちゃった」
「見てたんですか?」
「遠くからでも京香ちゃんって分かるから」
そう言ってニコリと笑う。
約2時間ほどほとんど吹きっぱなしだったからか、先輩の髪は少し汗で湿っていた。
それでも一切疲れた感じは窺えない。
やり切ったといったような、すがすがしい表情。
そんな爽やかな笑顔に、ドキリと胸が高鳴る。
「とてもいい演奏会でした。何よりも先輩のソロ……。とても心に響きました」
「そう、それは良かった。あの曲は、京香ちゃんの為に吹いた曲だからね、少しでも心に残ってくれたなら、頑張ったかいがあるな」
「少しだなんて……。演奏会が終わっても動けないくらいに、感動したんです」