結婚も2度目だからこそ!
それからたわいのない話で盛り上がる。


沙織は、高校時代いかに先輩が私たちの学年でモテていたかを熱く語り、有希は内緒で先輩の下駄箱に手紙を入れたことを、この場で白状した。

「……あ、思い出した。差し出し不明の手紙あった。大会前だったかな、『頑張ってください、応援してます』ってだけ書いてあった手紙。それもしかして」

「はい、それ私です。直接言葉で言う勇気がなくて……。つい手紙を出しちゃいました」

「ええ!?まさか有希がそんな行動してたなんて知らなかったよ!」

「私ももう結婚してるし、もう時効だと思うからここで話したの。まあ、私にもそんな淡い恋心を抱いていた時があったんだよね。手紙にすら『好きです』とは勇気が出なくて書けないくらいの密かな恋ね」

有希は舌を出して、はにかんだ。

まさかの告白に先輩は少し照れた表情を浮かべていた。
その表情に、私の心の中で何かざわついてしまう。

「そ、そうなんだ。ありがとう。気付かなくてゴメン」

「いえいえ、逆に気付かれたら困ります。あ、でも今はちゃんと夫一筋なんで。心配しなくていいからね?京香」

「え!?」


有希にそう言われてしまって、ドキッとしてしまった。


微妙に顔に出てしまっていたのだろうか。


別に昔のことなのに。
有希だってもう素敵な旦那さんがいて、気にする必要なんてないのに。


「べ、別に気になんてしてないよ。ただそんな気持ちを持ってたってことを、その時知りたかったなあって」

「だってファンも多かったし、京香は先輩と同じ部活だったじゃない。私よりも近くにいるってことがちょっと悔しかったの。だから言えなかったのよ、ゴメンね」

「そうなんだ……」

同じ部活だって、先輩とはそんなに話せなかったんだけど。
……でも、有希からしたらそれでも近くにいた私が羨ましかったんだろう。


「で、先輩。話は変わりますけど、京香のことくれぐれもよろしくお願いしますね。先輩の手で幸せにしてやって欲しいんです」

唐突に有希が先輩に言う。
あまりにも突然に言うものだから驚いてしまった。

「ちょ、ちょっと有希!?」

幸せにって!!
そんな先輩にそこまでしてもらおうなんて思ってないのに。
これはあくまで私が立ち直るまでの付き合いで、それ以上のことはないんだって思ってるのに。


……けど先輩は有希の言葉に対して、こう答えた。


「もちろんだよ。俺の力で京香を幸せにする」




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