結婚も2度目だからこそ!
私は沙織たちが待つ部屋へと先輩を案内する。

沙織たちは、バリっと化粧を整え背筋をピンと伸ばして、それぞれ座っていた。


「どうも、話すのは初めましてかな?吉岡です。いきなりゴメンね、乱入しちゃって」

「い、いえ、そんなことないです!!むしろ一緒に飲めるなんて信じられないくらい……!私は沙織って言います!よろしくお願いします!」

「わ、……ま、マジで本物……。は、初めまして、有希です……」

「沙織ちゃんと有希ちゃんね。よろしくね」

ニコリと沙織たちに向けて笑みを浮かべた後、先輩は持っていた楽器を部屋の隅に置くと、私の隣に座った。

先輩の腕が私の腕に当たる。
そして先輩の爽やかな香水が仄かに香って、ドキッとしてしまう。

私がちょうど先輩を迎えに行っている間に、どうやら先輩の分のビールを頼んでくれていたようで、先輩が一息つくなり個室の扉が開けられ、ビールが運ばれた。


「じゃあ、改めて。乾杯」

先輩のその掛け声に、私たちもそれぞれジョッキを軽く当てる。
そして先輩は勢いよくジョッキを傾けていく。

そんな先輩を、向かいに座る二人は瞳を輝かせながら見つめていた。


……まあそうなるのも、無理はないか。
だって、憧れの先輩がこんなに近くにいるんだもんね。
< 54 / 127 >

この作品をシェア

pagetop