結婚も2度目だからこそ!
私に回された腕が、強くなった気がした。
より智樹の胸元に顔がうずまる。

「それで、京香はなんて?」

「何も答えずに逃げたよ。会いたくもない、会ったところで話すことなんて何もないもん。ただ、アイツは今でもあの女と繋がっていて、自分達の未来のために過去に犯した罪を清算しようとしているのが、凄く許せなかったの。一生、謝らせてなんかやるもんかって、そう思いながらここまで来たんだ」

智樹の服をギュッと握って、私はそう強めの口調で答えた。

智樹はそんな私の頭を優しく撫でる。
まるで落ち着けと言わんばかりに。

「うん、正解。京香の行動は間違ってないよ。自分達のエゴのために、今まで散々苦しめた京香をさらに苦しめようとするなんて、どうかしてる。俺が京香の立場だったら、ぶん殴ってたかもしれない」

「会う必要なんて、ないよね?」

「当たり前だよ。京香の受けた傷は一生治らないんだ。奴らだけそれを無くそうとするなんて、虫が良すぎる。誰が聞いたって、同じ答えを言うはずだ」

智樹の言葉に、身体の力がゆっくりと抜けていく。
これで良かったんだって、間違ってなかったんだって、そう思ったら涙が溢れた。

智樹は私から身体を離して、リビングまで連れて行ってくれる。
そしてソファーに座らせると、涙で濡れていた頬を手で拭ってくれた。

「今、温かい飲み物でも用意するから待ってて。だいぶ落ち着いてきてるとは思うけど、気持ちの整理がまだついていないだろうから。飲んで、ゆっくり気持ちをゆっくり休めるといいよ」

「ごめん、智樹。こんな話をするために、ここに来たわけじゃないのにね」

「全然。むしろ京香の心の内を共有できて嬉しいよ。もう、ひとりじゃないんだ。俺がいるから。どんな事があっても、俺が必ず守ってやるから」

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