結婚も2度目だからこそ!
智樹は優しくニコリと笑うと、キッチンへと向かう。
掛けられた言葉がとても胸に響いて、再び涙が溢れた。

どうしてこんなに幸せなの?
智樹と出会えて良かったって、改めて思う。


ふと、考えるんだ。

もし、高校生の時、勇気を出して智樹と仲良くなっていたら、今どんな人生だったかって。
もしかしたらこんな思いをせずに、今頃智樹と幸せな家庭を築けていたかもしれないって。

圭悟との事があったから、今があるのかもしれないけど、でも、もしかしたらって思いが消えなくて。

どうして、あの時勇気を出して、もっと話しかけなかったんだろう。
ただ見ているだけで、終わらせてしまったんだろう。

もっと自分に自信があったら。
きっと、こんな思いをしなくても済んだかもしれないのに。



「……なあ、俺達、高校の時に好きになってたら、今どうなってただろうな?」

「え?」

「今でも、こうやって好きで付き合ってたかな?結婚してたかな?」


真夜中、ベッドの中で智樹は私を後ろから抱きしめながら、そう呟いた。

智樹の言葉に驚く。
自分も考えていた事を、そのまま言葉で聞かされたから。

「あは、やだなあ。私も同じ事考えてた」

「嘘、マジで?」

「うん。あの時、勇気を出して声を掛けていたら、智樹ともっと仲良くなっていたらって。……好きになってくれたかな?」

「あの頃、もっと京香の事を知れていたら、好きになってたと思う。だって、今こんなに愛おしい。離したくないって凄く思うから。遅かれ早かれ、必ず京香とはこうなる運命だったんだ」

「運命……かあ。もっと早くにこうなる運命だって知っていたら、こんなに遠回りしなくても良かったのにね」

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