結婚も2度目だからこそ!
後ろ向きだった身体を智樹に回して、私からキスをした。
それに応えるように、智樹は私の咥内へ舌を這わせる。

優しくも、激しいキス。

唇を重ね、お互いの思いを確かめ合うようだった。


「なあ、京香が良かったらだけど、ここで一緒に住まないか?」


唇を離すと、智樹はそう囁く。
キスの余韻と、唐突な言葉に私の頭はうまく回らない。

「……え?」

「京香の家からの駅で会ったって事は、もしかしたらこれからも会う可能性が高いだろ?そのたびに嫌な思いをするのも辛いだろうしさ。ここなら、朝は一緒に通勤できるし、帰りも時間が合えば一緒に帰れるし。会う確率は実家にいるよりもぐん、と減ると思うんだ」

智樹の言う通りだ。

あの時間、女があの駅から出てきたって事は、私の住む近くに女がいるって事。
女の口調から言って、圭悟もまだあの女と繋がっている。

と言うことは、会ってしまう可能性がある。

別に圭悟に対して、もうなんの感情も持ち合わせていない。
好きだって気持ちもすでに枯れ果ててしまって、彼らに対して残ったのは嫌悪感、ただそれだけ。

だけど、あの二人が一緒にいるところを見たら、きっと私の心は、大きく乱れてしまうに違いない。

「まあ、俺はそれだけじゃないんだけど。一番は俺がただ京香と一緒にいたいだけなんだけどな。近くにいれば京香を守ってやれるからさ。どんなことがあっても支えられるから」

智樹は、少し照れながらそう話す。

どちらの理由にせよ、私を思ってのこと。
私は、そんな智樹の思いがとても嬉しかった。

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