十九時、駅前
第1章
……その日。
机の上に置かれたメモに戸惑った。

『笹岡へ  
 十九時、駅前
     片桐』
 
置いた人は片桐課長。
私の後ろを通りしな、
さりげなく折りたたんだこのメモを
置いて行った。

……これは一体、どういう意味なんだろ?

首を、捻る。

なにかお説教、
とかだったら別に社内でいいわけで。
しかもなんでメモ?
普通だったら、社内メールでもいいと思うし。
意味がわからない。
 

悩んだものの答えは見つからないまま、
終業時間になった。

更衣室で着替えて、時間まで少しあったから、
持ってきてた本をぱらぱら。
でも、全然集中できない。

余裕を持って会社を出る。
無視することも考えたけど、
片桐課長の性格からいって、
あとが怖いからとりあえず行くことにした。
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