十九時、駅前
片桐課長は三課の課長だ。

ちなみに私は二課。

同じ営業企画部とはいえ、あまり接点はない。

仕事に厳しくて、そして俺様。
でも、人一倍仕事はできるし、
上層部の人間からも覚えがめでたい。

見た目だって、短めに切られた爽やかな黒髪。
切れ長の目の左目下に
二つ並んだほくろがセクシー。
通った鼻筋。
薄い唇。
はっきりいってイケメン、って奴だ。

高嶺の花っていわれてる、
秘書課の才女と付き合ってるとか、
社内一の美女といわれる、
経理の姫と付き合ってるとか。
ほんとか嘘かわからない噂が囁かれまくってる、
人。

……そんな人が。
平々凡々な私に一体、なんの用?
 

メモにあった駅前に行くと、
すでに片桐課長は待っていた。

「すみません、お待たせしました」

「いや。まだ時間前だし。じゃあ、行こうか?」
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