十九時、駅前
第3章
日曜日。
いつもの駅に行くと、
片桐課長は車で待っていた。

「家電屋、家具屋、
ホームセンターの順で連れて行ってやる。
他に行きたい店はあるか?」

「特には……」

「買うものはわかってるな?」

「はい。大体」

「ならいい」
 
私から視線を逸らすと、片桐課長は車を出した。

お正月とは違う、ラフな服装。
こういう服も似合うんだ、
とか変なことを考えていた。

「そういえば、片桐課長?
私、片桐課長の連絡先、知らないんですが」

「は?」

「いままでは特に支障がなかったですが、
急に行けなくなったときとか、
連絡できないと困りますし」
 
……昨日みたいな場合、とか。

「……必要ない」
< 32 / 92 >

この作品をシェア

pagetop