十九時、駅前
「うるさい。
……それで、だ。
専務に結婚を前提に付き合ってる相手を
連れてこいって、いわれた。
一緒にきてくれるか?」

「どういう意味かわかりません」

「……察しろ」

「鈍いので、無理です」

「だからー、……花重、俺と結婚して欲しい」
 
……私の手が、
片桐課長のネクタイを掴んで引き寄せる。
そしてその唇に私は……。

「……返事は?」

「察してください」
 
私を抱き寄せると、
今度は片桐課長から唇が重なった。
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