ウサギの王子に見初められ。
水曜日のランチタイム。涼しくていい天気だから、沙耶とサンドイッチを買って公園ベンチでランチ。気持ちのいい秋晴れ。

隣に置いておいたスマホが震えたのでちらっと見ると、三上くんだった。思わずパッと取ってみると、短いお誘い。

【こないだは突然ごめんね。話してたフットサルの練習試合、日曜なんだけどよかったら見に来ない?】

「何?返信していいよ」

沙耶に言われて、ランチ中だから返信は【見てみたい。場所とか教えてね】って送っただけにしたのに目ざとく突っ込まれる。



「今の三上でしょ」

「……なんで?」

「真奈さぁ、自分で気づいてないかもしれないけど、今週やたらスマホチェックしてるじゃん?それでさぁ、今見たとたんにすっごい嬉しそうな顔したけど?」

「そうかな」

「そうだって。そんで、三上だっていうのあたりでしょ」




沙耶は自信満々だし、実際そうだし、変に隠すほうがおかしいかなと思う。

「うん。フットサルの練習見に来ないかって。沢田さんのチームに入ったみたいだよ」

「ああそう。ふーん、着々と仲良くなってるわけだ。でも沢田さんのところに真奈連れてったら、三上確実になんか言われるんじゃない?あの先輩ってうわさ大好きでしょ」

「え? そうかな、行かないほうがいいと思う?」

「いやいや。別に同期だし、真奈がサッカー好きなのはほんとだし平気でしょ。でも三上もオープンに狙ってきてるか、単に同期だから気軽に思ってるのかわかんないね」

オープンに狙ってきてるって、どういうこと。沢田さんにも宣言しちゃうとかそういう? まさかそんなことはないと思うけど。




「私も行ってもいいかな、それ。別にデートに誘われてるわけじゃないんだし、いいよね?」

「あ、うん、いいんじゃない? 言っとくね。え、でもサッカーだけど、見たいの?」

「言ってなかったけど、私も観戦結構好きなんだよね」




これはおそらく嘘なんだろう。面白いネタを沢田さんに独り占めされたくないとかいう、野次馬根性とみた。

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