ウサギの王子に見初められ。

そこに三上くんが来てくれた。

「沢田さん、真奈ちゃん困らせないでくださいよ。誘って無理に来てもらったのに、仕事させられたらオレの立場ないですよ」

「なんだよ、三上。お前どうせ安藤狙いだろ、植木ぐらい俺らに寄越せ」

うわぁ。やっぱりそう見えるよね、私が沙耶についてきたって。

「ダメです。オレたちの真奈ちゃんですから」

三上くんはいつものかわいい笑顔で言って、私を沙耶のところに連れてってくれた。沙耶は私に意味ありげな目線を送り、後でこそっと「奪還してくるとか、やるじゃんね、王子」と耳打ちしてくる。

ほっとして私ものんびり飲んでいたら、そばにいる人がまた飲みすぎたらしく泥酔した。

はぁ、そんなつもりないんだけどなぁ。なんで酒豪なんだ私は。




帰りは途中から電車で三上くんと二人になる。やっと気が抜けて、ため息をついた。

「ごめんね、疲れた?」

いたわるように聞かれて、はっとする。

「違う違う。楽しかったよ。フットサル面白かった。ちょっと沢田さんがしつこくて疲れただけ」

「沢田さんて真奈ちゃんにいつもあんなだった? ちょっと失礼だよね」

「うん、あんな感じだよ。仲良くしてくれてるんだけどね、いじられてるの」

「ごめんね。オレもっとちゃんとかばえたらいいんだけど、変に沢田さんに勘繰られてもまずいなとか思ってさ。じゃぁ呼ぶなって感じだけど」

三上くんはうつむいて反省している。いいのに、そんなの。別に沢田さん悪気ないんだし、嫌な気しない。



「でも三上くんが助けに来てくれたでしょ。ありがとう」

「そう言ってもらえると嬉しいけど。なんかかっこ悪かったけどね、あれもね」

そうかな?

オレたちの真奈ちゃん、結構うれしかったけどな。

「ほんとは違うこと、言いたかったんだけどね」

どきっとした。

それってさ、オレの真奈ちゃん、だったりする? 考えすぎ?

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