ウサギの王子に見初められ。
1試合で終わるのかと思ったら、休憩を入れて2試合やったので、その後も十分応援できて楽しかった。
試合が終わってから、相手チームの皆さんがわざわざお礼に来てくれて、そろそろ忘れかけていたことを思い出す。
「今日はそちらのマネージャーさんにお世話になりました!女子マネうらやましいですよ、ほんとに」
「マネージャー?」
うわぁ、こっちでは気づかれていなかったのに、やめてほしい!
男同士わいわい話しながら、事情が伝わったらしい。
「なんだよ、植木。お前マネージャー経験あるの?聞いてないぞ」
沢田さんに突っ込まれる。沢田さんになんかやれとか言われると嫌だから言ってなかったのに。
なんのかんのと言われながら、そのままの流れで飲みに行くことになる。沙耶も喜んでるしいいんだけど。
沢田さんと上野さんに捕まって、マネージャー歴やらなにやらやたらと聞かれた。
「俺、実は見てたけど」
と上野さんは言う。
「プロの仕事だったね。初心者が慌てちゃってるのを、冷静に取り押さえてがっちり伸ばしてたね」
取り押さえて…… はい。そうですね。マネージャーって世間の人が思ってるようなかわいい仕事じゃないですからね。
「マネージャー、欲しいよなぁ、沢田」
「欲しいって俺たちいつも言ってたよなぁ、上野」
「ここに俺たちのために送り込まれた天使がいるよなぁ」
どうやら仲良しらしい二人に取り囲まれてるけど、ここで流されてはいけない。「マネージャーはもうやらないって決めてるんで」と固辞する。